レポート Vol. 21 地域の足としての役割を果たそうと奮闘するタクシー事業者の皆さんの取組み

コロナ禍で苦境が続くタクシー業界。利用が激減する中で、地域の足としての役割を果たそうと奮闘するタクシー事業者の皆さんの取組みをご紹介します。

福祉分野のニーズに応える
“地域の足”の役割果たすため

「コロナ禍でビジネス客が激減し、外出自粛で夜の利用もない。イベントもなければ、観光客もいない。ひどい時は売り上げが前年の2、3割程度でした」と富山県タクシー協会専務理事の清沢新一さんは話します。「タクシー事業者はそれぞれ助成金を活用しながら運用台数を1/3まで減らしたり、休業したりしながら踏ん張ってきましたが、タクシーは乗ってもらってなんぼ。この状態がいつまでも続けば、タクシー業界は衰退に向かってしまいます」。

お話を伺った富山県タクシー協会専務理事の清沢新一さん

コロナ禍で現在タクシー利用の多くは、高齢者の病院送迎や買い物などとなっています。富山市にある富山交通は、車イスでも利用しやすいユニバーサルデザイン(UD)タクシー車両を昨年大幅に増やしました。現在同社に52台あるというUDタクシーは、低床でスロープが設置でき、車内空間が広いため、車イスに乗ったまま乗車することができます。台数が増えたことで、「利用者から『街で見つけたときなどに、予約なしでも気軽に利用できるようになって有り難い』という声が聞かれるようになった」と同社の担当者は話します。また、同社では、車イスや点滴棒、酸素ボンベの貸し出し(予約時に申し出が必要)を有料で行っています。

誰でも乗り降りしやすいユニバーサルデザイン(UD)タクシー。床面がフラットで車イスのまま乗車が可能。

一方、高岡市にある高岡交通は、高齢者施設と提携して送迎業務の受託を強化。数カ所の施設と契約して、運転手を派遣しています。
両社は、以前から福祉分野に力を入れてきました。一般のタクシー利用が激減する中で、一人での自力外出や公共交通機関などの利用が難しい移動困難者のニーズに応えることで新たな活路を見いだしたい考えです。

フラットな床面は階段などの多少の段差にも対応しているので、介護者の負担も軽減される。

「事業者はそれぞれ知恵を絞っています。ただ、タクシー業界としてできることは限られます。乗客に協力を呼びかけながら感染症対策を徹底して営業を続けていくしかありません」と清沢さん。車内での感染症対策は、「車内清掃・消毒を徹底して行った上で、運行時は乗客の了解を得て窓を少し開け、空気の流れを作ることで感染リスクを抑えています。乗客にもマスク着用をお願いし、事業者によっては、運転手と乗客の座席を飛沫防止シートで仕切るなどの対策もとっています」。
また、キャッシュレス化が急速に進む時代の流れもあり、支払い方法も変化しています。富山交通では、全車に広告付き決済機を設置。後部座席に設置したセルフレジ型の決済機は、クレジットカードや交通系IC、電子マネー、QRコード決済など、多彩な決済が可能です。キャッシュレス化により乗客と運転手の接触が減ることは、感染症対策にもつながっています。

画面から県内の観光地などの映像が流れる広告付き決済機。

少子高齢化が進む中で、特に交通不便地域では、タクシーが地域住民の生活に欠かせない“地域の足”としての役割を担っています。清沢さんは「交通弱者を守り、地域の足としての使命を果たすため、地域それぞれの実情を踏まえ、そのニーズに応えながらタクシー事業を守っていきたいです」と力を込めました。

事業社名
富山県タクシー協会
住所
富山市新庄町馬場24-2
電話番号
076-423-0622
URL
http://www.t-taxi.sakura.ne.jp/