“巣ごもり”で米・コメ加工品需要増
リモート商談で海外販売を加速

(牧山)同じく“現場“の仕事という面から、金泉さんの会社ではいかがでしたか。

有限会社グリーンパワーなのはな 取締役 
金泉和久 以下(金泉)

コロナが広まった時、まずは休校で給食がストップする問題から始まり、その後に飲食店の需要が止まり、需要と供給のバランスが大きく崩れました。一方で巣ごもりで個人消費やスーパーマーケットの売り上げが良かったので、ニーズがシフトしました。そこに対応できるかできないかで、農業でも生産者によってかなり差が出ました。
当社はインターネット通販に力を入れており、主に黒米や赤米などを扱っていますが、こちらは健康志向ブームで家庭向けがじわじわと伸びています。ただお弁当屋さんや食堂など飲食店向けの売り上げがガクンと減りました。緊急事態宣言が出ると下がり、その後また戻ってきてと、上がり下がりを繰り返しています。ただ、人間がご飯を食べないということはないので、ゼロにはなりませんが、需要にどう対応していくのかが難しいところです。

当社は2019年から米やコメ加工品の輸出を始めています。コロナ前には香港、シンガポール、イギリスに渡航して販路開拓をスタートしていましたが、「本格展開するぞ」というところでコロナが広まりました。全く渡航ができなくなり、輸出事業も「これで終わった」と思っていたら、リモートによる商談が可能になりました。コロナが後押しし、リモートによる海外販売が加速してきている状態です。オンライン商談ツールについていくのが大変で、リモートでのプレゼンにも四苦八苦しましたが、海外渡航費が50万、100万かかっていたところが全くかからなくなり、成果を出しやすくなりました。リモートの弱点もたくさんありますが、コロナ禍の逆境下で話ができたというのは親近感や強いつながりになっていると感じます。独自の「越境ECサイト」も作りました。コロナ禍だからこそ逆になんでもできるという思いで、いろいろ取り組んでいます。

(牧山)海外で日本のお米が売れているという背景にはコロナを背景とした健康志向もあるのでしょうか。

(金泉)やはり巣ごもり需要のようです。海外では「パックご飯」に今まであまり興味がなかったのですが、商談では「これはなんだ。長持ちするのか」と聞かれます。当社で作っているお粥パック製品にも興味を示されます。そもそもお米は最強の保存食です。パックごはんに関しては、欧州やアジアは電子レンジが普及してないので「お湯で湯煎すれば食べられる」と紹介しています。去年(2020年)リモート商談した時はドイツ、フランスもロックダウンの最中で、危機的状況であっても何をしようかと皆一生懸命に考えておられ、前向きにリモートで商品の販売、情報交換をさせていただきました。

(牧山)以前は商社を通したり、海外の展示会に行ったりしないと販路開拓は難しかったのが、コロナで大きく変わりましたね。

(金泉)コロナ以前は“個別”のリモート商談会はほぼ皆無だったと思いますが、JETROや富山県、新世紀産業機構が積極的に開催してくれるようになりました。うちも最初は及び腰でしたが、JETROでコンサルタントや通訳などのサポートをしてもらい、リモート商談会やバーチャル国際展示会に参加すると、これが意外と面白い。小規模店と直接やりとりできるのもよい点です。例えばベルリンの小さな日本食・日本製品の女性オーナーと話していたら「どこから買えばいいかわからない」と言われ、自社ECサイトを案内し、受注に結び付きました。ただリモートは商談に至るまでのマッチングの手間がこれまで以上にかかるので会社や商品の魅力をいかに直感的に訴えるか工夫する必要があると勉強になりました。

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