お酒の頒布会とコラボ
富山の食材配送で需要開拓

(牧山)
“出口”であるお料理屋さんにお客さんが入って来ないとなると、そこに食材を供給される漁業者や農家さんなど、生産者全体が困りますよね。

(美浪)
そうですね。酒屋さんもお酒が余って困っておられたので、毎月のお酒の頒布会で、お酒と一緒に富山の食材を手配して送る取組みを、6月から6カ月間行いました。

(牧山)
反響はいかがでしたか。

(美浪)
かなり反響があり、110セットぐらい送りました。今は富山に来て、体験して食べてもらうことがなかなかできない状況です。富山の食材をまず味わってもらい、その上でコロナ禍が収束した時には富山を訪れてもらい、富山の良さを体験して欲しいという思いがあります。

大事なのは県民に地場産品を
美味しいと思ってもらうこと

(牧山)
普段なら食べられない食材が富山県内のスーパーでも手に入り、これまで食べたことがなかった方に味わってもらう機会ができた。また、テイクアウトや日本酒とのコラボ企画という新しい需要の掘り起こしにもつながりました。このように“未来の種蒔き”を行い、コロナ禍が収束した後にきちんと花が開くように繋いでいくには、消費者の立場からすると、これまで以上に「地場の生産品を意識」した購買行動をとることが大事だと思います。

野口さん、生産者の立場で県内消費者に対して、何か訴えたいことはありますか。

(野口)
富山は魚、米、野菜など、さまざまな美味しい生産品がありますが、それを食べたことがなかった県民の方々も多かった。こんなに美味しい生産品や食材があり、こんなに素晴らしい料理人の方々が美味しく料理してくださるという「富山の魅力」をコロナ禍の中で県民の皆さんに気づいていただけたことは、良かったことの一つだと思います。県外に行かなくても、県内にこんなに美味しいものがあると。生産者としては、どうしても大きい市場に目がいってしまうのですが、やはり地元でとれたものを地元の人に美味しいと思っていただけることが、一番大事なことだと思います。例えば県外から来られた方が「シロエビの味はどうですか」と地元民に聞いたときに、実際に食べていれば「美味しいよ」とはっきり言えるじゃないですか。そういう状況を生み出せたら、生産者にとって非常にうれしいことだと思います。

今は「信頼を稼ぐ」時間。
富山食材の商品力で勝負!

(美浪)
このコロナ禍は「お金を稼ぐ」べき時ではない。アフターコロナにつながるように「信頼を稼ぐ」時間だと思っています。お店のスタイルやプライド・誇りを地元や県外の方に発信する中で、信頼というものが自然に生まれるとそこに道ができ、自分が思うような店作りができるのではないかと考えます。

機会があって、8月と9月に東京に出張して料理をしてきました。本来は東京オリンピックに合わせて行くはずでしたが、オリンピックが延期になって、延び延びになっていたのです。2カ月ぐらい行ってきましたが、その際の料理にシロエビも使わせていただきました。その時感じたのは、「富山の食材は本当にいい」ということ。本物を提供できる「商品力」さえあればお客様に伝わるということです。それは改めて私自身の自信にもなりました。東京には物があふれ、手に取ってもらうまでが非常に大変です。またパッケージやデザインも大事です。そこをきちんと考えた上で、ブレずに商品力をきちんと提供できれば、売れるものはしっかり売れます。富山の食材はそれだけの価値がありますし、安売りする必要は絶対にないと思います。

(牧山)
今は「信頼の稼ぎ時」という言葉にすごく共感しました。コロナ禍で密を避ける生活スタイルが求められるようになると、モノがあふれ競争が激しい東京で、今までの価値基準が大きく変わりました。そういう中でもしっかりとした商品力があれば勝負ができる。今までさまざまな情報の中で埋もれていた富山の良さ、特に地元の方が知らなかったような富山のモノの良さというものが、このコロナ禍で現れた。また、今まで敷居が高かったような料理屋さんでも「テイクアウトなら食べてみようか」といった動きも県民の中に出てきたように思います。

現在2ページ目