富山県庁 広報課 課長 
牧山貴英 以下(牧山)
現在、富山県では、感染拡大防止と社会経済活動を両立させ、県民が知恵を絞り、工夫をしながら新型コロナウイルスに負けない元気な富山県を創っていく取組み「MAKE TOYAMA STYLE」を進めています。

本日は、鋳物メーカーの活動を中心に、産業観光やブライダル業に加えて、最近は旅行業登録を取得するなど、新たな分野に挑戦し続けている株式会社能作専務取締役の能作千春さんと、井波で空き家をリノベーションし、井波彫刻の職人とコラボした「職人に弟子入りできる宿 Bed and Craft」を生み出し、コロナ禍にあってもそれを乗り越える新しい井波のまちづくりを進めている株式会社コラレアルチザンジャパン代表取締役の山川智嗣(ともつぐ)さんに、これからの新しい価値観の中で、私たちはどのように新しい時代に対応していくべきかをテーマに対談いただきます。よろしくお願いいたします。

(牧山)
早速ですが、新型コロナウイルスが瞬く間に世界中に広がり、私たち県民のライフスタイルだけでなく、世界中の人々の価値観や消費行動も大きく変化しつつあります。新型コロナウイルスが皆さんの事業活動のなかでもたらした影響と変化、またそれを乗り越えるため、どのように取組んでいらっしゃるのかについて、教えてください。

コロナ禍だからこそ多角展開で攻める。
旅行業を取得し、新たな価値を提言

株式会社能作 専務取締役 
能作千春 以下(能作)
まず販売面でいうと、新型コロナウイルスの影響で直営13店舗が大打撃を受けました。店舗によっては3~5月の間に休業していた期間もあったので、売上がひどい時で30%(前年同月比)の時もあったのですが、今は徐々に回復傾向にあります。ただ首都圏に関しては、いまだに50%ぐらいの率で推移している店舗もありますので、リアル店舗の大打撃が新型コロナウイルスの大きな影響です。一方で、オンラインショップは250%近く売上が伸び、現在も続いています。今後はオンラインでどうやって商品価値を伝えるかが、ひとつのテーマです。

観光面でいうと、団体集客を広く行っていたために打撃を受け、観光客の受入れを止めざるを得ない状況に陥っています。産業観光なので、産業を担っている職人の安全確保の面から、いまだに工場見学を休止せざるを得ない状況です。体験工房とカフェは営業していますが、やはり昨年ベースからすると各事業ともかなり減少しています。

このような直面している課題に対して、今まで以上に“モノ”(商品)の魅力を伝えていく必要があると考え、戦略的に多角展開するように取組んでいます。例えば、医療機器の開発や海外進出など、一つに絞らずにいろいろなところに網を張ることです。こういう時代だからこそ新たな先を見据えたチャレンジができる体制を整えています。海外では、新しい合弁会社を立ち上げ、台湾・中国を中心とするアジア圏への進出を計画しています。医療機器についても医療現場などで役立てるヘルスケア用品等に力を入れています。

観光面では、個人誘客型かつ寄り添う観光の形の提案をしていけたらと考えています。2020年4月に旅行業を取得したので、ものづくりをしている視点で新たな価値を提言できないかということを考えています。

ステイホームを楽しみ、鋳物を学ぶ
「チョコレート製作キット」贈る

(牧山)
ちょうど新型コロナウイルスが拡大していた4月・5月に、こども向けの企画をされたそうですね。

(能作)
休校でなかなか外に出られない子供たちに、企業として何かしてあげられることはないかと考えました。鋳物とチョコレートの作り方(溶かしたものを型に流して、冷えて固まったら取り出す工程)が一緒なので、鋳物を学びながらチョコレートを作る製作キットと、鋳物の作り方を学べる能作オリジナルノートをセットにして、市内の約4,000人のお子さんにプレゼントさせていただきました。保育園と幼稚園の卒園児さんへの卒園のお祝いと、学童に通われている子供たちに「頑張ろうね」という気持ちを込めました。